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今日のロック・シーンの全ての感傷と激情を内包したバンド、The Murder Of My Sweet は、その音と主張で人々の心を捉えている。
バンド名は、5人のメンバー全員が目指す方向性、信念、コンセプトをこれ以上はないほどよく表している。メンバーそれぞれがこれまで辿ってきた道程の果てに、共通の目標として結実したのがこのバンドである。
ドラマー/作曲家/プロデューサーの Daniel Flores が、まさに彼が求めていた容姿、声、才覚を持ち合わせたシンガー・Angelica Rylinに偶然出会ったことで、当バンドを(多少の嘘を交えつつ)結成。ギタリストの Daniel Palmqvist、ベーシストの Johan Niemann、キーボードの Andreas Lindahlらのメンバーも予想以上に順調に集まり、バンドメンバー達は精神的にも、クリエイティブさでも完璧なコンビネーションを発揮している。
「『良い音楽とはなにか』という境界線を拡大していく」というシンプルかつエキサイティングな目標を掲げる彼らの音楽は、様々な音楽からの影響を感じさせつつも非常にユニークだ。たたみかけるようなメロディにシネマティックな音像は、5人それぞれの異なる音楽経験が反映されており、Angelica の悲しげなヴォーカルに重なるPalmqvistのギターの爆発的な音色、Andreasのキーボードがスリリングなオーケストラアレンジで曲を彩り、Niemannと Flores が生み出すリズムがダイナミックに轟く– 彼らの大いなる野望によって加速されるこれらのコラボレーションは、忘れがたくアップリフティングな印象を残す。
楽曲は主にDaniel と Angelicaの 素晴らしいチームワークによって製作されているが、もちろんそこには他の3人からの刺激的なインスピレーションや、それぞれの個人的な体験、映画、本といった要素が欠かせない。彼らのデビューアルバムの楽曲にはダークな主題を扱ったものや、完璧なフィクションの要素が見てとれる。’Kiss Of Death’ は本来なら絶対に避けるべき愛を求めてしまう欲望、また ’Bleed Me Dry’ では変わりたいという気持ちと自分らしく生きたいという望みが描かれ、’Follow The Rain’ では何度も同じ過ちを犯してしまう状況から脱却し、自分の人生をコントロールできるようになること、’Storms O f The Sea’ には長いこと行方不明の恋人を探して世界を旅する美しい女性の話、バラード曲 ’Mistaken’ では Angelica自身が考える「信頼」と「不安」への見解が語られている。
まだ簡単なピアノ・デモ段階の音源しか存在していないが、Flores 曰く The Murder Of My Sweet 版 ‘Bohemian Rhapsody’ といえる楽曲 ‘Death Of A Movie Star’ は、このバンドの遊び心が満載の、さざめくような柔らかい曲調と極限まで荒々しい曲調が美しいメロディと共に交互に繰り返され、圧倒的な声のレイヤーと無限のエネルギーが手を結ぶ超大作曲だ。
The Murder Of My Sweet の目指すものは、謎、悲しみ、感傷や希薄な生命感といったフィルム・ノワール的なヴァイブレーションを彼らの楽曲を通して体験させること、音楽と言葉とを直接的・陶酔的な喜びの純粋な表現という地点まで高めることである。